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燃えるような夏に別れを告げるころ種をまき、すすきが穂をたれるころから「かぶら畑」が見事な表情になって育ってきます。冷ややかな冷気が野菜のしまりを良くし、そのうまみをゆさぶり、いっそう美しいかたちにしていきます。

ちょうど産まれたての赤ちゃんに初湯を使わせるように……。ていねいに水洗いをします。

工房に運び込まれた聖護院かぶらをひとつひとつ、ていねいに手際よく皮をむいていきます。

ここからが手づくりの技。特製の千枚漬用のカンナにかけていきます。平たく均一に切るのは、簡単そうで、なかなか熟練がいる仕事です。

手のひらと指先ひとつでトランプをひろげるように、きれいに並べて漬けていきます。

さっと塩をふって、千枚漬の下漬けです。四斗樽に約2,000枚。かぶらの数にして80個から90個が漬けこまれていきます。重石は65キロから75キロぐらい。樽におさまった千枚漬は、冷たい空気につつまれた工房で、静かに熟成の時を待ちます。

じっくり下漬けしたあと本漬けです。北海道産の一等昆布。逸品ものの米酢、酒どころ伏見の味醂を加えて、すべてに手づくり、心づくりの気風を重ねてゆきます。